月華が如意棒を高々と夜空に掲げた。
漆黒の闇に黄金がキラリと光り目を惹く。
「炎の海に現れし南の神、朱雀!我等は神の力を必要とする!!
今、ハートのAは悪を裁こう!!」
月華がそう叫ぶと、さっきできたヒビから、1枚のトランプが
降ってきた。
「ハートの功第十六番、紅の華!」
その言葉を唱えたとき、トランプから舞い上がった炎がつるのように
伸びて、悪霊たちを捕らえた。
一瞬にして、悪霊が燃えた。
春水は隣で、嬉しそうにニコリと笑う。
「・・・終わり、っと。」
月華は悪霊が燃え尽きると、炎を出したトランプをキャッチした。
「ごくろうじゃったのう。」
春水はそういいながら悪霊の残骸に“紙”を貼っていった。
「まったく。また体力消耗したぁ~。今度の任務はあんたがやってよね!」
「そうじゃのう・・・。そろそろ腕も鈍ってきたことだからの。」
そう言って、春水は最後の悪霊に紙を貼った。
「ほら、最後の仕上げじゃ。きっちりしめてくれよの。」
春水が月華の背中をトン、とたたく。
「
・・・っとに。はいはい。」
月華は面倒くさそうに悪霊たちの方へ歩いていった。
そして今度は横に、如意棒を構えた。
「封!」
ザァッ、と、木々が揺れた。それどころか、フェンスをも揺らした、風。
消えそうな街灯はパカパカと、点いたり消えたりを繰り返す。
その風が、すぅ、と引いたころには、もう悪霊の姿は跡形もなくなっていた。
そのかわりに、春水の貼っていた“紙”に、記号と文字が浮かびあがっていた。
「 ハート と A 」
という、二つの。
これを月華は拾い集めて、ポケットにしまった。
「これでちょっとは成績あがるかなぁ?」
「立ち止まっている暇はないぞ、月華。支部でキングが鬼になっておるぞ。」
「・・・なんでそんなこと言えんのさ?」
「女の勘、じゃよ。」
「・・・勘、ねぇ。どーだか。」
月華のそれを合図にしたかのように、二人は静かな闇から突然、
姿を消した。
そのそばの街灯もまた、闇を照らすのを諦めたようだった。
~~~♪のササヤキ~~~
ふぁ~、やっとプロローグ終了!
あ、一応設定ではここまでがプロローグなワケですよ。
これからかなり登場人物が増えます・・・。
そりゃもうどうしようか?ってくらい。
まぁ作者の私がこんがらがらないように気をつけます!!
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